不動産取得税は、不動産の取得に際して課税される税金です。
ただし、居住用の家屋などには一定の軽減措置があります。
この記事では、不動産取得税の軽減措置について詳しく説明し、留意点について解説します。
不動産取得税の課税主体と対象
不動産取得税は地方税であり、都道府県が課税を行います。
課税されるのは、不動産を取得した人です。
不動産の取得の原因は、売買だけでなく、贈与・交換・財産分与・遺贈、法人への現物出資、増改築、河川や海岸の埋め立てなども含まれます(ただし相続は非課税です)。
納税は普通徴収方式で行われ、県から送付された納税通知・納付書に基づいて、金融機関やコンビニで納付します。
課税されるのは、固定資産台帳に記載された固定資産評価額に基づきます。
通常、取引価格の7割前後が課税標準とされています。
居住用住宅に対する軽減措置
生活の基盤となる住宅については、不動産取得税に対して税制上の配慮が行われ、軽減措置が講じられています。
・税率の軽減: 不動産取得税の標準税率が通常4%とされているのに対し、住宅と住宅用地に対する税率は、2021年3月までの取得の場合は3%に軽減されます。
・課税標準の圧縮: 商業用地と住宅用地の取得に関しては、課税標準を本来の1/2に圧縮する措置が認められています。
・住宅の課税標準の控除: 住宅の課税標準からは、住宅の新築年月に応じて、最大1200万円までの控除ができます(長期優良住宅新築の場合は1300万円まで)。
ただし、この控除を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
●床面積が50㎡以上240㎡以下であること – 取得者の居住用家屋であること(セカンドハウスでも可)
●1982年1月1日以降に新築されたこと(同日前の新築でも、新耐震基準に合致している場合は可) 以上が不動産取得税の軽減措置についての概要と留意点です。
住宅用地の税額控除に関する手続き
新耐震基準を満たす住宅を所有している場合、住宅用地の税額控除を受けることができます。
この控除を受けるためには、以下の手続きが必要です。
まず、1981年以前に建設された住宅が耐震基準に合致していることを証明するために、次の書類を提出する必要があります。
1. 既存住宅売買に関する瑕疵担保契約証書:住宅に関する欠陥担保責任法人が発行した契約書。
2. 耐震基準適合証明書:指定確認検査機関、建築事務所、または住宅に関する欠陥担保責任法人が発行した証明書。
3. 耐震等級1-3級を示す建設住宅性能評価書:登録住宅性能評価機関が発行したもの。
さらに、住宅用地に関しては、その価格の4.5%または床面積の2倍(ただし、最大200㎡)に相当する分の税額を控除することができます。
以下の条件を前提に、控除手続きの具体的な計算方法を説明します。
<前提条件>
●2019年5月1日に居住用の一軒家を購入した場合
●住宅用地の固定資産評価額:1億円
●住宅用地の敷地面積:300㎡
●住宅の固定資産評価額:5000万円
●住宅の床面積:120㎡
<税額の計算>
住宅用地:1億円 × 4% + 5000万円 × 4% = 600万円
<軽減措置の計算>
1. 住宅用地の控除額: 1億円 × 1/2 × 3% = 150万円(A)
A × 200㎡ ÷ 300㎡ = 100万円(B)
(A) – (B) = 50万円
2. 住宅の控除額: (5000万円 – 1200万円) × 3% = 114万円
住宅用地の控除額(50万円)と住宅の控除額(114万円)を合算すると、164万円となります。
つまり、控除を受けることで税額が450万円減額され、節税効果は60%以上になります。
軽減措置を受けるための手続きは、不動産を取得した日から60日以内に、以下の書類を都道府県の指定された事務所(県税事務所、都税事務所、支所など)に提出する必要があります。
住宅取得の際の必要書類と注意点
●不動産売買契約書:売買の合意内容や条件を明確にした書面です。
この契約書は双方の合意がなされた後に作成されます。
●最終代金領収書:住宅の最終的な代金の受領を証明する書類です。
ここで支払った金額が明記されており、将来のトラブルを防ぐために重要です。
●登記事項証明:不動産の登記情報を証明する書類です。
所有者や抵当権の有無、用途地域などの詳細が記載されており、購入時に必要となります。
●建築請負契約書:住宅を建てる場合に必要となる契約書です。
建築会社との取り決めや工事の内容が記載されており、建設工事に着手する前に取り交わされます。
●検査済証・建物引渡証明書等:住宅の完成後、建築の品質や安全性を証明する書類です。
建物検査を行った結果や引き渡し時の状態などが記載され、住宅を受け取る際に必要となります。
●長期優良住宅証明通知書:優れた品質や省エネ性能を持つ住宅に対して発行される証明書です。
公的な機関による審査があり、特典や優遇措置の対象となります。
まとめ
住宅を購入する際には、上記の書類が必要となります。
特に、不動産取得税の軽減を受けるためには申告が必要ですので、必要な書類の提出や手続きを遅れないように注意しましょう。
これらの書類は将来のトラブルを防ぐためにも重要ですので、正確に保管しておくこともおすすめです。