借地権付き建物のメリットやデメリットは?売買は出来る?方法は?

不動産

住宅や土地を選ぶ際に、「借地権」という言葉を見たことありますか。

借地権とは、土地の所有者から土地を借りて使用するために地代を支払う権利のことを指します。

借地権に関する法律は、民法と借地借家法の2つがありますが、それぞれの違いを理解しておくことが重要です。

この記事では、借地権の種類や利点・欠点、留意点などについて詳しく説明します。

借地権とは?

「借地権」とは、民法において他人の土地で工作物や竹木を所有するためにその土地を使う権利を指します。

この権利は土地の所有者である第三者に使用料(地代)を支払うことで得られます。

ただし、借地借家法においては、「借地権」は建物の所有権を目的とする地上権または土地の賃借権を指します。

旧法借地権

「旧借地権」とは、1992年8月以前に土地を借りた際に適用される制度であり、借主にとって非常に利益がある規定です。

建物の形態によって契約期間は異なりますが、契約を更新することで、実質的に永続的に土地を借り続けることができるという特徴があります。

具体的には、旧借地権を持つ借主は、土地の所有権を持たずに、一定期間土地を借りることができます。

この契約期間は、建物の形態によって異なりますが、大抵は50年や70年などの長期にわたります。

しかし、旧借地権の一番の利点は、契約期間が終了した後でも、契約を更新することによって、土地の借り続ける権利を得ることができる点です。

この更新手続きを行えば、再び借地契約が継続され、借主はさらに長期間土地を使用し続けることができます。

つまり、旧借地権を持つ借主は、ほとんどの場合、半永久的に土地を借り続けることができるというわけです。

このため、借主にとっては、土地の所有権を持たなくても、安定的に土地を利用することができるというメリットがあります。

一方で、地主側にとっては、契約の更新によって土地を借り続けることができるため、土地の売却や再開発などの計画ができにくくなるというデメリットもあります。

ただし、地主は更新時に借地料の見直しを行うことができるため、収益を確保することができます。

旧借地権は、土地の賃借を促進するための制度であり、借主と地主の都合を勘案したバランスの取れた規定となっています。

借主にとっては、長期的かつ安定的な土地利用の機会を提供し、地主にとっては収益を確保する手段となっています。

新法借地権(普通借地権)

「普通借地権」とは、1992年8月に行われた法改正によって導入された制度です。

この制度では、契約期間と建物の構造との間には関係がありません。

これは従来の借地権とは異なる点です。

契約の存続期間は30年であり、契約更新によってさらに20年延長することが可能です。

従来の借地権と同様に、契約更新が行われれば土地を永続的に借り続けることができます。

つまり、この制度を利用すれば、土地を長期間にわたって利用することができるのです。

定期借地権

「定期借地権」とは、土地を借りる際の特殊な契約形態です。

この契約では、契約期間の終了後に自動的に更新されず、借主は土地を返還しなければなりません。

つまり、借主は一度契約期間が終わったら、土地を更地にして元の所有者に返す必要があります。

定期借地権にはいくつかの種類がありますが、一般的な定期借地権、建物譲渡特約付借地権、事業用定期借地権の3つに大別されます。

それぞれの契約期間や用途は異なりますが、一般的な住宅購入の場合、一般定期借地権(契約期間50年以上)または建物譲渡特約付借地権(契約期間30年以上)が適用されることが多いです。

旧法と新法の違い

1992年に施行された新しい法律(借地借家法)で、以前存在していた法律(借地法)と並立することになりました。

重要なことは、以前借地として契約したものが、新しい法律の施行によって自動的に変更されるわけではないということです。

したがって、現在でも以前の法律で契約された物件が多数存在しています。

先述の通り、以前の法律と新しい法律では、契約期間や契約更新の有無が異なります。

契約を結ぶ際には、内容をよく確認し、借地権の異なる点を把握しておく必要があります。

以前の法律から新しい法律に切り替えるには、契約そのものを新たに締結する必要があるため、土地の契約状況を事前に確認することが重要です。

借地権のメリット・デメリット

借地権付建物を選択する際には、その利点と欠点を良く理解しておくことが重要です。

以下では、このタイプの物件に関する特徴について詳しく説明します。

メリット

借地権を利用することの利点は、マイホームを買う際に土地の費用を考慮しなくても良いため、物件の価格が低く抑えられる可能性があるという点です。

エリアによって異なりますが、土地を一緒に購入する場合と比較して、住宅に関わる総費用を約60〜80%弱に抑えることができます。

さらに、土地を所有しないため、所有者に課される一部の土地に関連する税金を支払う義務もありません。

具体的には、固定資産税や都市計画税などが該当します。

土地に関わる費用を抑えることで、物件を購入した後も負担が軽くなるという利点があります。

デメリット

一方で、借地権のデメリットは、土地の使用料にあたる地代を毎月支払い続ける必要がある点が挙げられます。

地代については契約内容にもよりますが、所有した場合にかかる固定資産税・都市計画税の2~3倍程度といわれています。

また、建物をリフォームする場合には土地の所有者の許可が必要であり、あらかじめ相談をしなければなりません。

大規模なリフォームを行って土地に何らかの影響が出る場合は、保証金の支払いを求められることもあります。

そして、借地権付建物である場合、金融機関からの担保評価が低くなるデメリットにも注意が必要です。

希望する金額の融資が受けられないケースがあるので、資金計画を入念に立てるようにしましょう。

借地権付建物であれば、物件の購入予算そのものを抑えることができるので、住宅ローン借入額がどれくらい必要かをよく検討してみてください。

これにより、返済負担を軽減させることができます。

また、土地の使用料が将来上昇する可能性があるため、将来の出費を見越して予算を立てることも重要です。

借地権の適用対象と注意点

建物の所有を目的とする場合、借地借家法による地上権や賃借権が適用されます。

地上権は土地の所有権の一形態であり、物権として位置づけられます。

一方、賃借権は土地を借りる際の債権として扱われます。

地上権を持つ場合、土地の所有者の許可なしに他人への譲渡や転貸が可能です。

しかし、賃借権の場合は通常、土地の所有者の許可なしに土地の譲渡や貸与をすることはできません。

また、地上権が設定されると土地の所有者に登記をすることができますが、賃借権の場合は一般的に登記されません。

借地権付建物という用語が使われる場合、通常は賃借権のことを指すことが多いです。

さらに、親族から無償で土地を借りて、その土地に建物を建てて住んだとしても、単に使用貸借契約となり、借地借家法の適用対象にはなりません。

また、借地権の場合であっても、一時的な使用に限られている場合は、借地借家法の一部しか適用されないことにも注意が必要です。

契約を締結する段階では問題がなくても、契約内容を十分に理解していないと後でトラブルの原因となることがあります。

疑問や不明点がある場合は、不動産会社などに絶対に確認をすることが重要です。

まとめ

借地権とは、土地所有者から土地を借りて、一定の期間や条件に基づき土地を利用することができる権利です。

借地権を持つ人は、土地使用料を支払うことで土地を利用することができます。

借地権には、旧借地権、普通借地権、定期借地権といったさまざまな種類があります。

各種類には、土地の利用期間や条件などが異なるため、借地権を取得する際には注意が必要です。

借地権付建物は、土地の所有権を持たずに建物を利用できる形態です。

この場合、土地の購入費用を考える必要がないため、物件の選択肢が広がります。

ただし、借地権付建物は担保価値が低く、土地の地代を支払わなければならないことも考慮する必要があります。

また、建物の所有を目的として、第三者から土地を借りる場合は、借地借家法の適用対象となります。

借地借家法に基づき、借主と貸主の間で借地契約が締結されます。

この契約には、土地の利用期間や使用料、契約期間などが明記されます。

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