一般的に、土地の売買を検討する際には、まず「この土地はいくらで売れるのだろうか」と考えることが多いでしょう。
自分で値段を調べようとしてネットや本を利用することもあるかもしれませんが、相場や適正価格を調べる際には、どの価格を参考にし、どのように評価していけばいいのか分からずに困惑することもあるかもしれません。
土地の場合には、「公示価格」と呼ばれる価格や「相続税路線価」、「固定資産税評価額」、そして「実勢価格」といった4種類の価格が存在します。
これらの価格の意味や使い方を1つずつ調べていくのは非常に手間がかかるだけでなく、おすすめできるものではありません。
相場や適正価格を調べる際には、「路線価」が重要な要素となってきます。
ここからは皆さんと一緒に、土地の相場や適正価格を算出する方法を考えていきましょう。
土地の相場
まず、目指すべき土地の相場について考えてみましょう。
土地の相場とは、需要と供給のバランスを考慮した取引価格のことを指します。
一方で、「土地の適正価格」は、ある土地の本質的な価値を適切に表した価格です。
土地の相場と適正価格は、それぞれ異なる概念です。
つまり、土地の相場は需要と供給に関係する立地条件、周辺環境、都市計画の内容、敷地形状、道路条件などの要素を考慮に入れて計算されます。
最終的に、売主と買主が合意できる価格水準となります。
地価が上昇している場合、売主は過去の事例よりも高く売りたいと思い、買主も多少高くても購入したいと考えることで相場が上昇します。
逆に、地価が下落している場合、売主は少し安くても良いと考える一方で、買主はさらに安く購入したいと思うことで相場は下がります。
これが一般的な考え方です。
ポータルサイトを活用
不動産の相場情報を簡単に調べるための方法として、ホームズやアットホームなどのポータルサイトを利用することがあります。
これらのサイトでは、売り出し中の物件の情報を地域ごとに探すことができます。
具体的な価格や物件の特徴、近隣の環境なども詳細に表示されているので、売買の参考にすることができます。
また、
実際に成約した価格情報を参考
不動産取引価格情報やレインズといったデータベースには、実際に成約した物件の価格が記録されています。
これらの情報を参考にすることで、相場を比較しながら土地の価格帯や適正価格を把握することができます。
これにより、値下げの交渉を行う際にも説得力を持たせることができます。
なお、これらのデータベースは国土交通省などが提供しており、無料で利用することができます。
路線価を活用して土地の相場や適正価格を把握
路線価とは、相続税を計算する際に使用される価格のことを指します。
道路に付けられた土地の値段を示しており、土地の面積と掛け合わせることで土地の評価が行われます。
この価格は土地1㎡あたりの単価でもあり、参考となる価格になります。
一般的に、路線価で算出した土地価格は実際の取引価格の70%程度とされています。
なお、路線価は毎年変動するため、7月1日に全国の国税局や税務署で発表されます。
路線価情報は、管轄エリアの税務署でいつでも無料で閲覧することができます。
また、一部の市町村では主要な図書館や公共施設でも路線価の帳簿を公開している場合があります。
これらの情報を活用して、土地の相場や適正価格を調べてみましょう。
自宅周辺の路線価を調べるための方法
市役所の税務課に問い合わせるか、パソコンを使って自宅から簡単に調べることができます。
土地の相場を知るための計算方法
土地の相場を知るためには、公示価格と流通性指数を使った計算が行われます。
具体的な計算式は以下の通りです。
・土地相場 = (路線価÷0.8)÷0.95 ・公示価格 = 路線価÷0.8 ・土地相場=公示価格÷0.95 ここで、「0.8」という数値は、一般的に路線価は時価の8割程度であることから使用されています。
「0.95」という数値は、流通性指数と呼ばれるもので、詳しく考える必要はありません。
具体例として、路線価が約1,040,000円であった場合、以下の計算を行います。
①土地相場 = (1,040,000÷0.8)÷0.95 ②土地相場= 1,368,421(平方メートル/円)坪当たり 結果として、横浜マリンタワー付近の土地の相場は約4,515,789円(坪/円)となります。
この価格は路線価から算出した推定価格であり、土地相場の水準を判断するための指標となります。
土地の適正価格を知るための計算方法
土地の適正価格を知るためには、坪単価に直した路線価に1.2を掛けた計算が行われます。
具体例として、横浜マリンタワーを例にとると、以下の計算を行います。
1,368,421 × 3.3 × 1.2 = 5,418,947円/坪 結果として、横浜マリンタワー周辺の土地の適正価格は約541万8千円となります。
もし複数の路線がある場合など、より詳しい路線価の調べ方については、「土地の価値はいくら?路線価の調べ方と路線価図の読み方」を参照してください。
まとめ
今まで一緒に考えてきたのは、路線価を使って土地の相場や適正価格を知る方法です。
この方法は意外にも簡単で、土地の相場や適正価格を手軽に知ることができます。
これを使っておけば、急な不動産の売買の場面でもしっかりと備えることができますね。